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« 回収作業 | 独り、善がる »

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(其れこそ蟻か何かの様に)

   
俺の頭は烏に首を抉られた案山子の様にぐらぐらと不安定だ。思考をするにも其れは緩やかに崩壊し、其の度に積もり行く屑が頭に更に重力を掛けていく。―――嗚呼いっそ此の侭思考が重みに耐えきれずに停止してしまえば好いのだけれど―――そんな希望ですら今や重荷にしかならない。あなた、またアルコオルを飲んだの。鈴音の様な少女の問い掛けに緩やかに首を振る。その度に鼻先が顔を埋めた浅黒い膝を掠め、何の香りに似せたものかも解らない香水の強い匂いに頭が朦朧とした。本当に、ぐらつく案山子頭を棒で突いて弄ぶかの様に少女がもう一度問う。(疑われているのだろうか、と、少し哀しく思う。)――君が与える全てを受け入れられる様に。アルコオルどころか水一滴さえも。そう声を出して答えれば何処か虚ろに聞こえたが、少女はならよかった、と小さく笑った。何が良かったのだと問い返そうと思ったが口も瞳さえも酷く重い。頭の重力が顔へと滑り落ちて来た様だ。矢鱈と睡眠を勧める神経共を恨めしく思い乍ら堪え切れずに閉じる瞳の、――其の端で白い瓶を捉えて、嗚、と思う。同時、さもなければ死んでいたかもしれないわ、あなた。何て云う少女の声。――嗚呼。またしても"好奇心"を盛られたのだ。そう気付けば何時もより苦い味の紅茶に対し、己好みの味付けをしてくれたのだと自惚れを抱いた時に胸中に満ちた甘い水は総て微熱で蒸発し、最後にはざらざらとした粒だけが残る。



「おやすみなさい、帽子屋さん。」



睡りへと落ちる意識に届く甘い囁き。
其の囁きでどろどろの液体と化した其れを、懲りもせず、唯、貪りたいと夢見た。
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