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ガトーショコラな僕ら、

 ぴんぽん、ぴんぽん、ぴんぽん、ぴんぽん、ぴんぽん、

――名残惜しくもレム睡眠(“たん”を付ければ愛おしさ故に睡眠を大切に出来る、だ何て巫山戯た事を云ったのは誰だったか、)に別れを告げ、朦朧として巧く機能しない脳味噌の指令に因ってデスクの時計を視れば短い針は未だ2時を指していた。全く以てこんな夜中にインターホンを連打する奇人は何処の何奴だ、と思ったが、何ともまあ単純解明もう真っ昼間なのだ。つまり僕は人生最大の寝坊をした事になる訳で、人間特有の此処まで寝たならもう少し、という怠惰が生まれ掛けたが、真逆、こんなに連打された後にピンポンダッシュされたら堪らない、と、シルクのベットと迄潔く別れを告げる。こんなに悲しい別れが連続して起きるだ何て僕はもう立ち直れないかもしれない。さよなら、レムたん、其れとベット。また夜に。そんな莫迦げた事を考え乍ら、部屋の鍵を開け、ひんやりと冷たい階段を下る。心地好い筈が汗の所為で不快感しか生まれないのが残念だ。何ならスリッパを履けば良かったか、と玄関の端に有る兎を視て今更乍らに考えて、ドアノブに手を掛けた。が、開けはしない。
「何方ですか、残念乍らセールスは御断りですが」
物騒な世の中での、たった一つの防衛法、…にしては安易過ぎるけれど。
然し僕は昔から御母さんに容易く開けたら狼に食べられる、と教育されているのだから致し方が無い、勿論そんなのは今出来た設定だけど。
そんな僕の後付け設定の質問に対しドアの向こうで少し考える気配が伝わって来て(此の時点で怪しい訳だけれど僕は誰でも信じる人間なのだ、ちなみに此は先程考えた設定、)、
「なァに、単なるヤブ医者ですよ奥さん、入れてよ、旦那居ないんでしょ」
と、返って来た。
「………すいません間に合ってます、」
ヤブ医者が団地妻に手を出しに来るって何処まで物騒なんだよ此の世の中。
自分でも褒めちぎりたい程に勢い良く出た言葉に対し、ドアの向こうのヤブ医者は暫く噛み殺した様な笑いを漏らして、ヤブが間に合ってるたァ、御前の人生は随分と殺伐しちゃってんのね、と素敵な感想を述べてくれる。誰の所為だよ、言わずもがな貴方の所為だよ、犯罪者に厳しい此の国で他にヤブが居るもんかよ。招く為では無く文句を云う為にドアをゆッくりと開ければ、僕のそんな考え迄読んだ様な様子で(此は被害妄想か?若しくは過大評価か!)、酷く綺麗な顔を酷く粗悪に歪めた男が立っていた。
ジャージに白衣、便所スリッパ。手から下げたビニール袋にはアイスとホットな缶コーヒー。


全く以て、訳が判らない。
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